君の名は。とシン・ゴジラ両方観ろとりあえず

ネタバレ注意。

 

悪い事は言わない。両方観ろ。

ああああああってなるから。「君の名は。」観に行ったリア充は4DX楽しむつもりで行け。そして事態を重く受け止めろ。「シン・ゴジラ」観に行ったぼっちはリア充に囲まれることを恐れながら行け。そして色彩美にやられろ。

私はこの2つの映画が同時期に上映されていることの奇跡にめちゃくちゃ感動している。凄い奇跡だと思う。

 

何でかっていうと2つの映画に共通するテーマとして震災があるからなんだよ!!!!

しかも東日本大震災だ。3.11。地震が起こって津波が来たあの震災をどこか思い出させる描写が両者にはある。例えば、「君の名は。」だと1つの村が彗星が落ちたことでなくなってしまう。これはもろ津波とリンクする。津波に飲み込まれた街を想起した人めちゃくちゃ多いと思う。同じように「シン・ゴジラ」はゴジラが上陸して街が壊されていく、河川が反乱する、ゴジラの血が降るなどの描写がふんだんにある。地震を想起した人めちゃくちゃ多いと思う。どちらも目を背けたくなった人いるかもしれない。でも、だからこそ両方観ろって強く言いたい。

また面白いのが同じテーマ、震災を基に描かれたと見られるこの2作品だけど非常に対照的。今回はその事について書いてみたいと思う。

 

1.舞台が対照的

君の名は。」で彗星が落ちるのは主人公の1人三葉が住んでいる田舎の小さな「村」だ。都内に住んでいるもう1人の主人公瀧が災害が起こったことすらピンと来なかったくらいに忘れられていた「村」が舞台となっていた。そしてその「村」とともに三葉が死んでしまうことで語り手から三葉を排除し、「震災地以外」に住む瀧が語り手となっている。震災について語るのは「震災地以外」なのだ。

シン・ゴジラ」はその正反対、都心部ゴジラが現れて街を破壊していく。最初にゴジラが目撃されたのは東京湾、次に蒲田から品川、最後に鎌倉から東京駅と、日本の玄関というべき場所が多く舞台となっていた。「シン・ゴジラ」には明確な語り手が存在しない。そのため「震災地」にいる登場人物全てから悲惨さや現状を伝えている。このように全く正反対に舞台、語り手が設定されているのだ。

 

2.ストーリーが対照的

君の名は。」では、三葉と瀧が恋をする。何故か。何故か分からないけど恋をする。身体が入れ替わった事でシンパシーが生まれたのか特別な存在となったのかよく分からないけど恋をする。更に三葉の人間関係、瀧の人間関係が明確に描かれる。三葉は田舎に住んでてお婆ちゃんと妹と3人暮らし、父親は選挙中で、友達は……と観た人間誰もが語る事が出来るだろう。瀧に対しても同様の事が言える。しっかりと登場人物の背景が三葉に関しては描かれている(瀧に関しては少し不足)。

対して「シン・ゴジラ」は作中で一切の恋愛感情が生まれない。尾頭さんと安田課長の手が触れ合って「ごっごめんなさい///」「安田さんは…謝ってばかりですね///」なんて存在しない。個人的には裏であってもいいと思うかわいいよ安田尾頭。そして観た人間誰もが登場人物の背景を語る事は出来ない。出来るとしたらめちゃくちゃ調べてるのかソイツの妄想だ。

 

3.アプローチ方法が対照的

君の名は。」では災害に対して「未然に防ぐ」というアプローチの仕方をする。瀧が三葉を助けるために入れ替わり、村人を安全な場所に避難させるよう尽力するのである。災害が起こる前に立ち返り、最終的には避難訓練という形で村人を救うのだ。

一方「シン・ゴジラ」では既に災害が起こり、「どう立ち向かうか」を描いている。物語自体がゴジラが出現したところからスタートしており、出現したゴジラへの対応が主な軸となっている。更に最後ではゴジラ放射能への対応も述べられており、復興すら思わせている。

 

このように「君の名は。」と「シン・ゴジラ」の2作品は同時期に上映されていながら図らずも同じテーマにありながら両極端に描かれている。災害に対しての考え方の違いが見事に現れている。しかも、熊本の震災から4ヵ月後のタイミングでだ。これは凄い奇跡的な事だと思う。

 

ここからは私的感情。

君の名は。」を観た時、私は落ち込んだ。もし本当にこのような事が出来るのなら、今も車中泊を強いられていたり避難所で生活している人はいないのではないか、先の震災で誰も犠牲にならなくてよかったのではないかと思ってしまった。

私の出身地は熊本市だ。幸い、親族は大きな被害を受けていないが、益城に友達がいたり、家にヒビが入ったり、近所の家が全壊したりという現実を見てしまっている。

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誇りであった熊本城もこのザマである。

折角震災のショックから立ち直ってきた今に「君の名は。」が与えたものは正直堪えた。ファンタジーの世界とはいえ、「こんな事がもし出来るのであれば」と強く思った。

だけどもその後に「シン・ゴジラ」を観て、震災に対して強く立ち向かう政府や人々の姿に救われるように感じた。これからまたゴジラは動き出すかもしれない。だけどもまた誰かが立ち上がってくれる。尽力してくれる。そう感じたのである。

私が「君の名は。」と「シン・ゴジラ」の両方を観てほしい理由はそこだ。災害に対してファンタジーでのアプローチを行い、ハッピーエンドを描いた「君の名は。」を観た後で「シン・ゴジラ」というリアリティをもって立ち向かう人の姿を観てほしい。まだまだ日本はやれるのだと思ってほしい。